インプラント治療は,治療前から治療後まで多くの段階を経て行なうものです.
カウンセリングに始まり,治療の成功に欠かせない精密検査を経て実際に手術を行ない,インプラントを長期間安心して使い続けるためのメンテナンスを継続的に行なわなければなりません.
ここでは,インプラント治療の流れを詳しく見ていきましょう.
患者さんにお口に関するお悩みを自由にお話しいただき,一緒にご相談しながら歯科医師が治療方法を考えます.治療方法は一つだけとは限らないので,お悩みを解決するのに最も効果的だと思われる治療方法を探していきます.また,治療が成功するか否かはお体の状態とも関係するので,体調やご病気の有無など全身の状態もお聞きします.
虫歯になりやすい方,歯周病になりやすい方,歯ぎしりする癖のある方などさまざまな患者さんがいらっしゃるので,お口の中の状態は人それぞれ異なります.お口の中の状態は,治療に直接影響するだけでなく,治療後のインプラントのもち具合などにも影響するので,あらかじめお口の中をしっかり検査する必要があります.
お口の中を検査して,虫歯や歯周病などが発見された場合,事前に治療を終えておく必要があります.インプラント治療は長期間に及ぶので,お口の中を健康で衛生的な状態に整えておくことが大切です.
インプラント治療では,インプラントと顎の骨が結合することにより,しっかりと噛むことができます.そのためには,顎の骨に十分高さや厚み,量があることが必要なので,顎の骨の形状を正確に知るためにCT撮影を行ないます.
顎の骨が低すぎたり薄すぎたりすると,インプラントを埋め込めません.そのような場合,骨の量を増やすために,自分の下顎の奥の方から骨をとって移植したり,人工的な材料を使って骨を増やしたりすることがあります.ます.
最初に麻酔を行なって歯肉を切り開いて顎の骨を出し,ドリルで穴を開けてインプラントを埋め込みます.インプラントがしっかり埋まっていることを確かめてから歯肉を戻して縫い合わせます.このときにインプラントの頭部を歯肉の上に出しておく方法と,歯肉で覆う方法があります.
インプラントは骨と大変なじみやすい材料でつくられているので,骨と強く結合します.ただし,しっかりと結合するまでの定着期間が必要です.骨の強さや埋め込んだインプラントの種類によって異なりますが,結合するまで2~3ヵ月ほどかかります.
顎の骨とインプラントがしっかり結合したら,歯をつくるため口の型をとり噛み合わせの記録を行ないます.すぐに最終的な歯をつくるのではなく,まずは仮歯をつくって入れます.
仮歯を使って,見た目,噛み心地,話しやすさ,歯磨きのしやすさなどをチェックします.不具合があればその都度調整を行ないます.
もう一度口の型をとり噛み合わせの記録を行なって,最終的な歯をつくります.このとき歯の色もチェックして,より良い見た目になるようにします.
インプラントを長期間安心して使い続けるためには,口の中の衛生状態を保つことが大切です.口の中の状態をチェックし,歯磨きでは落としきれない汚れを除去するなど,定期的メンテナンスが必要です.