インプラント治療は失った歯を取り戻す有効な治療法です.しかし,メリットだけでなく,デメリットもあります.入れ歯・ブリッジと比較しながらそれをご紹介します.治療方法でお悩みの方は参考になさってください.
入れ歯やブリッジとの大きな違いは,顎の骨にインプラントを埋め入れる「外科手術」を行なうことです.歯根の代わりとなるインプラントは顎の骨と強固に結合し,自分の歯のように使用できます.
インプラント治療の最大のメリットは,顎の骨としっかり結合したインプラントの上に人工歯をつけることです.残りの歯や歯肉で人工歯を支えるのではなく,その下の骨から支えるので安定感に優れています.隣の歯に留め金を掛けて固定したり,自分の歯を削ることもないので,残っている歯に負担をかけません.そのほか,インプラント治療には以下のようなメリットがあります.
強く噛める
左右でバランスよく噛める
食べ物の食感が楽しめて,おいしく味わえる
取り外す煩わしさがない
隣の歯を削らずにすむ
自分の歯に負担がかからず,歯が長持ちする
発音がはっきりするので会話を楽しめる
人工歯自体は虫歯にならない
自然で美しい口元に仕上がる
笑顔に自信が持てる
インプラント治療には,多くのメリットがありますが,当然デメリットもあります.最大のデメリットは,外科手術が必要になるので患者さんの肉体的・精神的負担が大きいということです.治療は95%ほどの高確率で成功するといわれていますが,100%ではないので,失敗する可能性もあります.そのほか,インプラント治療には以下のようなデメリットがあります.
外科治療となるので,痛み・腫れ・出血・合併症などの可能性がある
インプラントを埋め込む顎の骨に十分高さや厚み,量がないと,治療が難しくなることがある
骨とは強く結合するが,粘膜とはあまり強く結合しないので,天然の歯よりも感染に弱い
噛む感覚が自分の歯と異なる
他の歯を失って入れ歯にする場合,インプラントの人工歯に留め金を掛けるとインプラントにダメージを与えるので,入れ歯の種類が制限されることがある
状況により,見た目が自分の歯と異なることがある
治療期間が長くなる
治療費が高額になる
治療後のメンテナンスを継続しないと,長期間使えなくなる
ほとんどの方に適応できる,治療方法です.土台付きの人工歯を歯のない部分に密着させて使用します.歯がまったくない方には「総入れ歯」,一部の歯がない方には周囲の歯にバネをかけて支える「部分入れ歯」となります.
外科手術などの必要もなく,ほとんどの方に適応できます.
取り外しができるため,お手入れがしやすく衛生的です.
周囲の天然歯を削る必要がありません.
ほかの治療に比べると安定感に欠け,噛み心地に違和感があります.
部分入れ歯の金属のバネが見えてしまう場合があります.
顎の骨が痩せたり,入れ歯自体の擦り減りが起きるなどにより,入れ歯の調整や作り替えが必要になります.
失った歯の周囲に天然歯がある場合,こちらの治療方法が適応できます.両隣の天然歯を削って土台をつくり,連結させた人工歯を被せて使用します.
入れ歯より安定感がありので,しっかりと噛めます.
比較的短期間の治療となります.
セラミックの人工歯を選択した場合,天然歯に同調した色に仕上がり,変色もほぼありません.
支えとなる天然歯を削らなければなりません.
支えている天然歯に大きな負担がかかることとなり,歯の寿命を縮めてしまいます.
固定されているので,ブリッジと歯肉の間に汚れが溜まりやすく,不衛生になりがちです.